太陽ホールディングス株式会社

本社無線LANのつながりにくさをArubaで解消
得られた成果を拠点/グループ企業へも展開
クラウドによる統合一元管理を実現、現場の運用管理負荷軽減に貢献

  • お客様プロフィール

    スマートフォンやパソコン、自動車など、あらゆる電子機器に使用されている絶縁インキ「ソルダーレジスト」で、世界シェアNo1※を獲得している化学メーカー。化学をベースに医療・医薬品、エネルギー、食糧分野へと事業の幅を拡げています。

    ※ 富士キメラ総研「2019エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」液状及びフィルム状ソルダーレジスト
    • 業種・業態: 製造
    • ロケーション: 東京都
    • 導入規模: AP100台以上

    ユースケース

    本社無線LANのつながりにくさをArubaで解消
    得られた成果を拠点/グループ企業へも展開
    クラウドによる統合一元管理を実現、現場の運用管理負荷軽減に貢献

    課題

    • 本社オフィスの無線LANがつながりにくく快適に作業が行えない
    • 太陽ファルマテックのインフラ刷新に伴い、無線LAN 設備の更新が必要に
    • 専任のIT 要員がいない拠点/グループ会社を支援できる環境を作りたい

    効果

    • Client Match の活用で移動中も通信が途切れない環境を実現
    • 本社導入で成果を上げたAruba を採用しグループ横断での環境標準化に成功
    • Aruba Central によるクラウド統合管理で運用効率化と迅速な障害対応を実現

    大手化学メーカーの太陽ホールディングスでは、本社オフィスの無線LANをArubaで刷新した。端末のつながりにくさを解消し、より快適な業務環境を提供するのが目的だ。この取り組みが大きな成果を上げたことから、その後同社では、研究開発拠点である埼玉県・嵐山事業所や、グループの医療用医薬品製造会社である太陽ファルマテックでもArubaを採用。「Aruba Central」によるクラウド統合管理のメリットを活かし、拠点やグループ企業の無線LANを横断的に一元管理できる環境を実現している。

    エレクトロニクス、医療・医薬品分野を中心にグローバルに事業を展開する化学メーカー

    東京・池袋に本社を置く太陽ホールディングスは、エレクトロニクス、医療・医薬品、エネルギー、食糧、その他事業の5つの領域でビジネスを展開するグローバル化学メーカーである。主力事業であるエレクトロニクス事業では、スマートフォンやパソコンなどの電子機器に欠かせないプリント配線板用部材などを製造。中でも、プリント配線板の回路パターンを絶縁・保護するソルダーレジストは、世界でもトップクラスのシェアを誇る。

    さらに2021年6月には、「多様化する組織や社会に対応する自律型人材の育成・活用」「電子機器用部材事業の継続した成長と新規事業領域の創造」「医療・医薬品事業の更なる成長」「デジタルトランスフォーメーションによる進化と変革」「新たな事業の創出」「戦略的なM&A」「SDG(s 持続可能な開発目標)への取り組み強化」の7点を基本方針とする長期経営構想「Beyond Imagination 2030」を策定。急激な市場環境変化にも翻弄されることなく、着実な成長を遂げていくことを目指している。

    本社の無線LAN環境を改善すべくArubaのソリューションを新たに導入

    その同社において、2020年に実施されたのが、本社無線LANのリニューアルプロジェクトである。同社では職場環境の充実に力を注いでおり、池袋本社も機能性やデザイン性に溢れた近代的なオフィスとなっている。もちろん、クライアントもノートPCによる無線接続が主流だが、以前は電波状況が悪く、移動時に通信が途切れるなどの問題を抱えていたという。

    こうした点を解消すべく、同社ではグループのICTサービスプロバイダーであるファンリードと共に新たな無線LAN製品の選定に着手。その結果、採用されたのがArubaであった。ファンリード ICTソリューション部 マネージャー 小林 幸一 氏は、その理由を「いろいろなメーカーの製品を検討した中で、特に目を引いたのがArubaの特許技術である『Client Match 』です。クライアントを自動的に最適なAPに接続してくれますので、課題であったつながりにくさの問題を効果的に解決できます。また、当時は、コロナ禍への対応も大きな問題になっていましたので、どのAPに誰が接続していたかトレースできる点も良かったですね」と語る。

    加えて、Arubaが提唱する「Aruba Edge Service Platform」(Aruba ESP)の構成要素である「クラウド管理」と「AIOps」も高く評価したとのこと。同グループでは様々な拠点やグループ会社を展開しているが、その中には専任のIT担当者が居ないところも少なくない。物理コントローラで管理するタイプの製品だと、導入や障害対応の際に現地に赴く必要があるが、Arubaであれば、現地のAPなどをクラウド管理アプリケーション『Aruba Central 』でリモート管理することができる。また、AIOpsを用いることで、トラブル発生時のログ収集・解析や原因究明、復旧作業などもスピーディに行うことが可能だ。

    本社オフィスでの実績を踏まえグループ企業へも導入を拡大

    さらに、この取り組みから間を置かず実施されたのが、主要子会社の一社である太陽ファルマテックの無線LAN再構築プロジェクトだ。同社は、第一三共プロファーマより譲渡された高槻工場を母体に2019年に設立。それ以来、グループの医療・医薬品事業を担う中核企業として、固形製剤や注射剤といった医療用医薬品の受託製造事業を展開している。 

    太陽ホールディングス 情報システム部 企画管理課長 髙塚学 氏は、本プロジェクトの背景を「事業譲渡に伴い、インフラやアプリケーションの全面的な刷新が必要であり、その一環として、無線LANも更新する必要に迫られたのです」と説明する。

    この新無線LAN環境についても、本社オフィスでの成果を踏まえてArubaを採用。髙塚氏は「何か新しいシステムを入れようという時に、各拠点やグループ会社がバラバラのソリューションを導入してしまったのでは非効率です。環境をある程度標準化した方が、ノウハウも溜まりますし横展開もしやすい。今回のArubaについても、既に本社で実績を積んでいますので、これをそのまま拡げるのがベストだと判断しました」と語る。また、小林氏も「特に太陽ファルマテックでは、APの台数が百台規模に上りますので、Aruba Centralによるクラウド統合管理のメリットが活きると考えました」と続ける。

    拠点のAPもクラウドで統合管理
    運用負荷軽減や障害対応に寄与

    実際の導入にあたっては、太陽ホールディングス、太陽ファルマテック、ファンリードの三社が協働でサーベイやAP設置などの作業を実施。太陽ファルマテック 高槻工場 管理部 管理課 松阪 千鶴子 氏は「生産現場で使用する関係上、通信が切れるようなことがあっては困ります。そこで、接続性の検証などをしっかりと行った上で工場施設内にAPを配置しました。全体的には、特に大きな問題もなくスムーズに導入を進められましたね」と語る。前述の通り、今回の取り組みはインフラやアプリケーションも含めた環境全体を刷新する一大プロジェクトだ。「それだけに、無線LAN導入に手間が掛からなかったのは大変良かった。既存の有線LANケーブルもかなり撤去できましたので、トラブルが起きる心配も減っています」と髙塚氏は語る。 

    工場ならではの固有要件などはあまりなかったとのことだが、クリーンルーム内で利用されるAPについては、ほこりが溜まったりしないようカバーを別途作成して装着している。また、部材管理などに使用されるラベルプリンタも無線LANにつながるため、こうしたデバイスの動作確認も徹底して実施。2022年1月より、無事全面稼働を果たしている。

    Aruba Centralによるクラウド統合管理への期待も高い。松阪氏は「太陽ファルマテックのITインフラについては、実質的に一人で担当しているような状況ですので、人的・時間的なリソースにそれほど余裕があるわけではありません。その点、今回のような仕組みがあれば、万一トラブルなどが生じた際にもリモートで太陽ホールディングス本社やファンリードの支援を受けられます。また、他の拠点やグループ会社とノウハウを共有できるのも、一元管理ならではの良さですね」と語る。ちなみに、太陽ファルマテック側でも、自らAruba Centralを活用。各種の操作が容易に行えるため、APや電波状況の確認などに役立てているとのことだ。 さらに、小林氏も「実際に、グループ内のある拠点で落雷によるAP故障が起きたことがあったのですが、現地に代替品を送った後の復旧作業はすべてリモートで実施できました。新規拠点への展開を行う際も、テンプレート化したグループ共通設定を利用できますので、ゼロベースで作業するよりはるかにスピーディです。各拠点/グループ会社の負担を軽減し、効率的な運用管理を実現できるという点で、クラウド運用管理の効果は非常に大きいと感じます」と続ける。

    研究開発やDXを支える基盤として活用
    Wi-Fi 6Eなどの新機能も視野に

    Arubaのソリューションは、このほかに太陽ホールディングスの研究開発拠点である嵐山事業所でも活用されている。この事業所には最先端の研究設備が導入されており、ソルダーレジストをはじめとする製品の開発を支える重要な役割を担っている。「建屋がいくつか分かれている上に、上下のフロア間を行き来するケースも多いので、導入にあたっては移動中も通信が切れないよう注意しました」と髙塚氏は語る。

    現在では、オフィスやラボ、クリーンルーム、食堂など、あらゆる場所で快適に無線LANを利用することができる。中でもユニークなのが、除草のために飼育されている2頭のヤギ「あさり」「しじみ」の動画配信にも使われている点だ。髙塚氏は「リモート採用面談の際などに事業所内をスマートフォンで撮影しながら紹介するのですが、『オフィスから外へ出てヤギを映すまで無線LANが途切れないようにして欲しい』との要望がありました。そこで階段の踊り場などにもAPを設置すると同時に、屋外型APも導入しています」と説明する。

    なお、同事業所では、電子部品・デバイス向け部材の需要拡大に対応すべく、新たな開発棟を建設する予定だ。太陽ホールディングス 情報システム部 企画管理課 春日 丈顕 氏は「各拠点やグループ会社に対し、安定的で快適なICT 環境を提供することが、グループITインフラ全体を管轄する当部門の役割です。新開発棟でも、より先進的なネットワーク環境を目指していますので、『Wi-Fi 6E 』をはじめとする新機能の活用も検討中です。また、AIOpsをはじめとするArubaの機能もどんどん使いこなしていきたいですね」と語る。

    また、太陽ファルマテックでも、自社のDXを加速するツールとしてArubaを役立てていく考えだ。松阪氏は「近年では、生産現場のスマートファクトリー化に向けた動きが拡がっています。当社としても、IoT機器やカメラなどの情報を製造業務に活かす取り組みを進めています。ここではネットワークが欠かせませんから、今回導入したArubaを有効に活用していきたい」と語る。一方、小林氏も「ファンリードでは、グループ外のお客様に対してもソリューション提供を行っていますので、今回の経験を外販ビジネスにもつなげていければ」と意気込みを語る。

    今後に向けた展望を「業務とビジネスが一体化した現在、当たり前に使えるインフラを整備することは最低限の仕事。これを着実に行った上で、生産性や収益向上への貢献も果たしていきたい」と語る髙塚氏。その取り組みをArubaもしっかりと支えていく。

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    グループ内には専任のIT 要員が居ない拠点や企業も少なくありませんので、Aruba Centralによるクラウド統合管理のメリットは大変大きい。運用管理を本社側からリモートで支援できますので、現場の負担も引き下げられます。

    太陽ホールディングス株式会社、情報システム部 企画管理課長、髙塚 学氏
  • お客様プロフィール

    スマートフォンやパソコン、自動車など、あらゆる電子機器に使用されている絶縁インキ「ソルダーレジスト」で、世界シェアNo1※を獲得している化学メーカー。化学をベースに医療・医薬品、エネルギー、食糧分野へと事業の幅を拡げています。

    ※ 富士キメラ総研「2019エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」液状及びフィルム状ソルダーレジスト
    • 業種・業態: 製造
    • ロケーション: 東京都
    • 導入規模: AP100台以上

    ユースケース

    本社無線LANのつながりにくさをArubaで解消
    得られた成果を拠点/グループ企業へも展開
    クラウドによる統合一元管理を実現、現場の運用管理負荷軽減に貢献

    課題

    • 本社オフィスの無線LANがつながりにくく快適に作業が行えない
    • 太陽ファルマテックのインフラ刷新に伴い、無線LAN 設備の更新が必要に
    • 専任のIT 要員がいない拠点/グループ会社を支援できる環境を作りたい

    効果

    • Client Match の活用で移動中も通信が途切れない環境を実現
    • 本社導入で成果を上げたAruba を採用しグループ横断での環境標準化に成功
    • Aruba Central によるクラウド統合管理で運用効率化と迅速な障害対応を実現

    大手化学メーカーの太陽ホールディングスでは、本社オフィスの無線LANをArubaで刷新した。端末のつながりにくさを解消し、より快適な業務環境を提供するのが目的だ。この取り組みが大きな成果を上げたことから、その後同社では、研究開発拠点である埼玉県・嵐山事業所や、グループの医療用医薬品製造会社である太陽ファルマテックでもArubaを採用。「Aruba Central」によるクラウド統合管理のメリットを活かし、拠点やグループ企業の無線LANを横断的に一元管理できる環境を実現している。

    エレクトロニクス、医療・医薬品分野を中心にグローバルに事業を展開する化学メーカー

    東京・池袋に本社を置く太陽ホールディングスは、エレクトロニクス、医療・医薬品、エネルギー、食糧、その他事業の5つの領域でビジネスを展開するグローバル化学メーカーである。主力事業であるエレクトロニクス事業では、スマートフォンやパソコンなどの電子機器に欠かせないプリント配線板用部材などを製造。中でも、プリント配線板の回路パターンを絶縁・保護するソルダーレジストは、世界でもトップクラスのシェアを誇る。

    さらに2021年6月には、「多様化する組織や社会に対応する自律型人材の育成・活用」「電子機器用部材事業の継続した成長と新規事業領域の創造」「医療・医薬品事業の更なる成長」「デジタルトランスフォーメーションによる進化と変革」「新たな事業の創出」「戦略的なM&A」「SDG(s 持続可能な開発目標)への取り組み強化」の7点を基本方針とする長期経営構想「Beyond Imagination 2030」を策定。急激な市場環境変化にも翻弄されることなく、着実な成長を遂げていくことを目指している。

    本社の無線LAN環境を改善すべくArubaのソリューションを新たに導入

    その同社において、2020年に実施されたのが、本社無線LANのリニューアルプロジェクトである。同社では職場環境の充実に力を注いでおり、池袋本社も機能性やデザイン性に溢れた近代的なオフィスとなっている。もちろん、クライアントもノートPCによる無線接続が主流だが、以前は電波状況が悪く、移動時に通信が途切れるなどの問題を抱えていたという。

    こうした点を解消すべく、同社ではグループのICTサービスプロバイダーであるファンリードと共に新たな無線LAN製品の選定に着手。その結果、採用されたのがArubaであった。ファンリード ICTソリューション部 マネージャー 小林 幸一 氏は、その理由を「いろいろなメーカーの製品を検討した中で、特に目を引いたのがArubaの特許技術である『Client Match 』です。クライアントを自動的に最適なAPに接続してくれますので、課題であったつながりにくさの問題を効果的に解決できます。また、当時は、コロナ禍への対応も大きな問題になっていましたので、どのAPに誰が接続していたかトレースできる点も良かったですね」と語る。

    加えて、Arubaが提唱する「Aruba Edge Service Platform」(Aruba ESP)の構成要素である「クラウド管理」と「AIOps」も高く評価したとのこと。同グループでは様々な拠点やグループ会社を展開しているが、その中には専任のIT担当者が居ないところも少なくない。物理コントローラで管理するタイプの製品だと、導入や障害対応の際に現地に赴く必要があるが、Arubaであれば、現地のAPなどをクラウド管理アプリケーション『Aruba Central 』でリモート管理することができる。また、AIOpsを用いることで、トラブル発生時のログ収集・解析や原因究明、復旧作業などもスピーディに行うことが可能だ。

    本社オフィスでの実績を踏まえグループ企業へも導入を拡大

    さらに、この取り組みから間を置かず実施されたのが、主要子会社の一社である太陽ファルマテックの無線LAN再構築プロジェクトだ。同社は、第一三共プロファーマより譲渡された高槻工場を母体に2019年に設立。それ以来、グループの医療・医薬品事業を担う中核企業として、固形製剤や注射剤といった医療用医薬品の受託製造事業を展開している。 

    太陽ホールディングス 情報システム部 企画管理課長 髙塚学 氏は、本プロジェクトの背景を「事業譲渡に伴い、インフラやアプリケーションの全面的な刷新が必要であり、その一環として、無線LANも更新する必要に迫られたのです」と説明する。

    この新無線LAN環境についても、本社オフィスでの成果を踏まえてArubaを採用。髙塚氏は「何か新しいシステムを入れようという時に、各拠点やグループ会社がバラバラのソリューションを導入してしまったのでは非効率です。環境をある程度標準化した方が、ノウハウも溜まりますし横展開もしやすい。今回のArubaについても、既に本社で実績を積んでいますので、これをそのまま拡げるのがベストだと判断しました」と語る。また、小林氏も「特に太陽ファルマテックでは、APの台数が百台規模に上りますので、Aruba Centralによるクラウド統合管理のメリットが活きると考えました」と続ける。

    拠点のAPもクラウドで統合管理
    運用負荷軽減や障害対応に寄与

    実際の導入にあたっては、太陽ホールディングス、太陽ファルマテック、ファンリードの三社が協働でサーベイやAP設置などの作業を実施。太陽ファルマテック 高槻工場 管理部 管理課 松阪 千鶴子 氏は「生産現場で使用する関係上、通信が切れるようなことがあっては困ります。そこで、接続性の検証などをしっかりと行った上で工場施設内にAPを配置しました。全体的には、特に大きな問題もなくスムーズに導入を進められましたね」と語る。前述の通り、今回の取り組みはインフラやアプリケーションも含めた環境全体を刷新する一大プロジェクトだ。「それだけに、無線LAN導入に手間が掛からなかったのは大変良かった。既存の有線LANケーブルもかなり撤去できましたので、トラブルが起きる心配も減っています」と髙塚氏は語る。 

    工場ならではの固有要件などはあまりなかったとのことだが、クリーンルーム内で利用されるAPについては、ほこりが溜まったりしないようカバーを別途作成して装着している。また、部材管理などに使用されるラベルプリンタも無線LANにつながるため、こうしたデバイスの動作確認も徹底して実施。2022年1月より、無事全面稼働を果たしている。

    Aruba Centralによるクラウド統合管理への期待も高い。松阪氏は「太陽ファルマテックのITインフラについては、実質的に一人で担当しているような状況ですので、人的・時間的なリソースにそれほど余裕があるわけではありません。その点、今回のような仕組みがあれば、万一トラブルなどが生じた際にもリモートで太陽ホールディングス本社やファンリードの支援を受けられます。また、他の拠点やグループ会社とノウハウを共有できるのも、一元管理ならではの良さですね」と語る。ちなみに、太陽ファルマテック側でも、自らAruba Centralを活用。各種の操作が容易に行えるため、APや電波状況の確認などに役立てているとのことだ。 さらに、小林氏も「実際に、グループ内のある拠点で落雷によるAP故障が起きたことがあったのですが、現地に代替品を送った後の復旧作業はすべてリモートで実施できました。新規拠点への展開を行う際も、テンプレート化したグループ共通設定を利用できますので、ゼロベースで作業するよりはるかにスピーディです。各拠点/グループ会社の負担を軽減し、効率的な運用管理を実現できるという点で、クラウド運用管理の効果は非常に大きいと感じます」と続ける。

    研究開発やDXを支える基盤として活用
    Wi-Fi 6Eなどの新機能も視野に

    Arubaのソリューションは、このほかに太陽ホールディングスの研究開発拠点である嵐山事業所でも活用されている。この事業所には最先端の研究設備が導入されており、ソルダーレジストをはじめとする製品の開発を支える重要な役割を担っている。「建屋がいくつか分かれている上に、上下のフロア間を行き来するケースも多いので、導入にあたっては移動中も通信が切れないよう注意しました」と髙塚氏は語る。

    現在では、オフィスやラボ、クリーンルーム、食堂など、あらゆる場所で快適に無線LANを利用することができる。中でもユニークなのが、除草のために飼育されている2頭のヤギ「あさり」「しじみ」の動画配信にも使われている点だ。髙塚氏は「リモート採用面談の際などに事業所内をスマートフォンで撮影しながら紹介するのですが、『オフィスから外へ出てヤギを映すまで無線LANが途切れないようにして欲しい』との要望がありました。そこで階段の踊り場などにもAPを設置すると同時に、屋外型APも導入しています」と説明する。

    なお、同事業所では、電子部品・デバイス向け部材の需要拡大に対応すべく、新たな開発棟を建設する予定だ。太陽ホールディングス 情報システム部 企画管理課 春日 丈顕 氏は「各拠点やグループ会社に対し、安定的で快適なICT 環境を提供することが、グループITインフラ全体を管轄する当部門の役割です。新開発棟でも、より先進的なネットワーク環境を目指していますので、『Wi-Fi 6E 』をはじめとする新機能の活用も検討中です。また、AIOpsをはじめとするArubaの機能もどんどん使いこなしていきたいですね」と語る。

    また、太陽ファルマテックでも、自社のDXを加速するツールとしてArubaを役立てていく考えだ。松阪氏は「近年では、生産現場のスマートファクトリー化に向けた動きが拡がっています。当社としても、IoT機器やカメラなどの情報を製造業務に活かす取り組みを進めています。ここではネットワークが欠かせませんから、今回導入したArubaを有効に活用していきたい」と語る。一方、小林氏も「ファンリードでは、グループ外のお客様に対してもソリューション提供を行っていますので、今回の経験を外販ビジネスにもつなげていければ」と意気込みを語る。

    今後に向けた展望を「業務とビジネスが一体化した現在、当たり前に使えるインフラを整備することは最低限の仕事。これを着実に行った上で、生産性や収益向上への貢献も果たしていきたい」と語る髙塚氏。その取り組みをArubaもしっかりと支えていく。

    グループ内には専任のIT 要員が居ない拠点や企業も少なくありませんので、Aruba Centralによるクラウド統合管理のメリットは大変大きい。運用管理を本社側からリモートで支援できますので、現場の負担も引き下げられます。

    太陽ホールディングス株式会社、情報システム部 企画管理課長、髙塚 学氏